【big maple 20】'君に届け Northern Lights' イエローナイフ滞在二日目
ノーザンライツって言ったらシャーマンキングのOPだったこの歌
麻倉葉がハオにちっちぇえなあーって言われながらボコボコにされていた頃
私は小学生だった
イエローナイフ滞在二日目もタイムスケジュールに沿って書いていきたい
一日目はこちら
【big maple 19】バンクーバーからイエローナイフへ ノーザンライツ邂逅編 - 音雲dig
起床
起きると既に昼過ぎだった。
昨日はビレッジを後にしてホテルに着いたのが夜中1時半。
そこから熱いシャワーを浴びに浴びて記事を書いて寝たのが4時過ぎ。
せめて午前中に起きようと寝る前にむなしい努力を行ったが5つのアラームは大した成果を挙げることが出来なかった。
本当に私を起こす気があるのかと問い詰めたい。
少しはやる気を見せて欲しい。
さて日中は何をしようか。
兎にも角にもまずはお昼だ。
夕飯を食べてから12時間以上経っている。
そういえばガイドのお姉さんがブラックナイトはランチも美味しいと言っていたのを思い出す。迷うことはなかった。
どんな格好で出るのが良いだろうか。
おもむろにiPhoneのロック画面を上から下へとスワイプする。
それなりに街中を散策する予定だししっかりと着込む必要がありそうだった。
パーカーの下に2枚と上から着るタイプの魔法、もといカナダグースレゾリュート。
歩く予定だし防寒ブーツはやめてスニーカーにした。
防寒ブーツはすねの半ばほどまである長さで、足の平をぐるっと分厚いプラスチックで覆ってある。安全靴をイメージしてもらいたい。
靴下は2枚履いて来るべきだったと後ほど後悔することになる。
それからインナーグローブを忘れた。手足からHPがガンガン削られていくことに。
The Black Night Pub 再び
一歩外に出るとそこは雪国どころではなかった。
どう考えても変わり者たちが作ってきた街だ、イカレてるとしか思えない。
その寒さは人間の皮膚に触れると痛覚神経を通じて脳に伝達される。
寒くない、痛い。
しかしどうなんだろう。実際想像しているほどではないのかもしれない。
マイナス10度程度ならスノーボードをしに蔵王に行ったときに経験している。
山頂は大体それくらいだった。
それと大きく違うかといえばそうでもない。
人間がきちんと寒さの違いを感じられるのはせいぜいマイナス10度くらいまでってことだろう。
今日は快晴だった。
雲ひとつない青空。
寒さを表現できた良い1枚だと思う。気に入っている。
北極圏間際の土地の高度の低い太陽が白煙を空かしている。
寒冷地特有のエモさ。
今日も元気に氷点下28度。
BKまでは10分ほど。
2度目の道を迷わず歩く。足取りは軽い。
私はてっきりランチメニューがあるのだと思っていたしそんな話を聞いていたのだけどそうではなかった。夕べと同じメニューに目を通す。
「何か飲むか?」と聞かれたが「ランチだけだよ」と返す。
迷った挙句にオーダーしたのがこちら。
The Black Jack.
フライかスープを選べるよって言われたのでスープを選択。
とても食べ応えがあった。
焼き立てサクサクふんわりのバンズ。
山崎パンには真似できないワイルドネス。
その上にたっぷり乗ったレタス、トマト、紫玉ねぎ。
ビーフパティも香ばしくてちゃんと肉の味がする。
チーズがまたニクい。その上に粒そのままのコショウが乗っているお陰で食べ進めるほどに口の中が辛い。ココイチで3辛を食べられるくらいの辛味耐性を持っている必要がある。
しかし粒コショウを奥歯で噛み潰すととても心地良い感触でクセになる。
バーガーの合間に野菜ゴロゴロのミネストローネにクラッカーを浸して食べる。
う・・・まい・・・ぞぉぉぉぉぉおぉぉぉーーーー!!!!(©ミスター味っ子)
満足だーー。
いやバンクーバーにもトロントにも美味しいバーガー屋はあるよ。ウィスラーで食べたsplitzのlegendary burgerも美味しかった。
でもレストランには当たり外れがある中で旅先でまともな物が食べられるって幸せ。
ナンバープレートがとても可愛い。
白くま。
そういえばイエローナイフの車のボンネットからは電源プラグがプラプラ出ている。
エンジンがかからなくなった時のためのもののようだ。
郵便局からビジターセンターへ
ウィスラーで書いた絵葉書だったがウィスラーの郵便局は休みだったため送れず。
結局イエローナイフまで持ってきてしまった。
イエローナイフの郵便局はカナダのマツキヨことShoppersの中に入っている。
ブラックナイトパブの真向かいなのでわかりやすい。
スタッフが不在なので5分ほど待っているとにこやかなお姉さんが登場。
国際郵便を送りたいから切手をくれと伝えた。
ちなみに日本カナダ間のエアメール(ハガキ)は一枚2.5ドルの切手が必要。
最近値段を改訂して一枚2.5ドルに変更されているので注意。
最近ハマっているチョコ、トブラローネ。
バラのパッケージがオシャレ。パーティサイズ。
ポッキーゲーム出来そう。
そのまま絵ハガキを出して今度はビジターセンターへ。
イエローナイフへ来たという証明書を発行してくれる。
爽やかなお兄さんに'Can I have a certificate?'と伝えると通じた。
証明書=certificate
フルネームを書くと名前と日付を印字してくれる。確か3$。
「記念に買っておこう」という精神が欲望以外の何者でも無いことを痛感する。あれもこれも欲しくなる。観光産業は欲望で出来ている!こんなの不健全じゃないか。ドロドロだ。最高。嬉しい楽しい大好き。
お土産もついでに物色する。
今回買ったものはこちら。リップもなんか高いけどお土産に手頃だしと思ってつい3本。
Aurora Paradise
オールドタウンエリア パイロットモニュメント
ここからが戦いだった。
ダウンタウンからオールドタウンへは徒歩で20分から25分と書いてある。
なんでも小高い丘からは白銀の街が一望出来るらしい。
私をその気にさせてくれたようだな。よろしい。ならば戦争だ。
大体wildcat cafeのあたり。
道を行き過ぎてまた戻って、なんてやってたら足の感覚がなくなってた。
スニーカーから自分のマナが急速に奪われている。機動性と引き換えに守備力を削った結果だ。仕方ない。当たらなければどうと言うことはなくないのがイエローナイフ。覚えた。
そしてもう一つの悲劇。
40分ほど歩いている間に懐のiPhoneとGoProが冷え切ってしまい活動限界に。
どうやって戦えばいいと言うんだ。
苦労して辿り着いたパイロットモニュメントからはそれは美しい景色を眺めることができた。授業は寝るかサボるかだった学生時代の反動で国語力が乏しい私には「まるで絵画のよう」としか表現出来なかった。月並みだ。プラチナ月並み。
高台からは360度見回すことが出来た。Grate Slave湖が完全に凍り付いていて分厚い氷を作っているので一面真平らだった。湖の上は雪に覆われて白銀。
とても眩しくてなんだかよくわからなかった。ダウンタウンの方を振り返ると家々の煙突から吐き出された白煙が全て同じ揺れかたをしていた。シンクロ率が高すぎて溶けちゃうんじゃなかろうか。
夕暮れに染まるダウンタウンはそれは美しくて、これはこれでオーロラ並の価値があると思った。
明日また写真を撮りに行こう。
夕飯
水曜日はウィングデー。
ざっくり行ったらフライドチキンが安くなる日。昨日ガイドのお姉さんから聴いていたマッケンジーラウンジへと向かう。
MacKenzie Lounge (イエローナイフ) の口コミ・写真・地図 – トリップアドバイザー
が、待てど暮らせどサーバーが来ない。そもそも一人しかいなくてずっとレジ対応でまごまごしてる。水すら来ぬまま15分以上。これは間が悪かったと思い店を出る。
次はボストンピザへ。
ここでもチキンウィングが食べられる。
だがここは現地民で大盛況・・・。今日は巡り合わせが悪かった。
こういう時は素直に引き下がるに限る。
と、店を出るところで現地で働いているヒゲもじゃのトニーと純朴そうなマークに声を掛けられる。最初はいったいなんて言っていただろう、突然話しかけられるのって例え母語でもハードルが高い。それに加えて英語だ。ハードルが高すぎる。
聞き返すとオールドタウンで働いていて「俺は雪の城に住んでいる王だぜ!日本からのツーリストか?明日見に来いよ」と言われる。意味がわからん。
めちゃくちゃうさんくせえ。見た目も話し方も胡散臭いしそもそもそんなにノリの良くない性分だし愛想笑いでごまかす。というのはつまり「オッケー明日行くよ」って言ったってことだ。どうしようか。
寒さで引きつった笑顔でsee yaと告げスーパーに向かう。ダウンタウンに一軒しかないスーパーindependentだ。こっち来てから初めて見たけどチェーン店だろう。
Trevor's Your Independent Grocer - イエローナイフ, NT
カップラーメンを買ってレジでフォークをもらい今日の食事は終了。実は昼のハンバーガーがまだ胃の中に残っていてさして空腹感は感じていなかった。
問題ない。何もかも。
いま再びのオーロラビレッジ
前日の経験からさらなる防寒が必要だと考えた。予定通り靴下を2枚、ヒートテック、インナーグローブを装着した。地元茨城の夜なら屋外で夜通しパーティできるほどの守備力だ。もちろんしないけど。
天気は相変わらず朝からずっと快晴。オーロラビレッジでもそれは変わらず到着した際ビジター全員の心が期待に高鳴っていたことと思う。間違いなく。
北斗七星は輝きオリオン座は堂々として半月は痛いくらいに眩しい夜だった。ここから急に雲って来るなんて考えられない。あとはオーロラ発生を待つばかり。
前のストーブが大きすぎてテントが燃えたから小型にしたらしい。
この日は前日より大きなティーピーに通される。大きすぎてストーブの火は隅々まで行き届かないし、人の出入りも多くて冷気が容赦なく侵入してくる。
昨日少し仲良くなった若夫婦の旦那さんが漏らしていた。
「これは苦行だ。」
彼は立派な一眼レフでずっとシャッターチャンスを狙っているようだった。
「グローブ外してカメラをいじっていると俺なにしてるんだろってなっちゃいますね(笑)」
笑い事じゃない。私もつられて笑ったが決して笑い事じゃない。寒さや暑さは人に自省を促す。
「俺なにしてるんだろ。快適な部屋に移ればいいのにわざわざ辛いところにきてなにしてるの?」ってやつだ。
恐ろしい。
ティーピーは外からみるとてっぺんまで3〜4mあるが中は天井が低い。
だがしかしここでマイナス40度に達していることを知る。
死神の足音がする。
死の香りがする。
大げさだけど大げさじゃない。
昨日のオーロラ活動についてもう少し書いておく。
実は昨夜はバスから降りてオーロラビレッジに足を着けた途端にオーロラに出会ってしまったのだった。齢24にして、かねてからの夢ははなんともあっけなく叶ってしまった。
緑色のぼやっとした雲が空に浮かんでいた。すげーとしか言えなかった。
空の具合は薄曇りだったが鑑賞には大きな支障を与えないレベルをキープしてくれた。
オーロラにはいくつか色がある。緑や青、赤や白。
高度や太陽から送られたプラズマ粒子が衝突した原子の種類によって色が変化する。
白は雲とほとんど見分けがつかない。うーんあそこ明るいなーどうかなーみたいな。
鑑賞半ばにして活動に大きな動きがあった。頭上に現れた緑色のカーテンは信じられないことに揺れていた。明滅を繰り返しながらその形を変えていた。
凍ったまつ毛のせいで視界が狭い。目やにがずっと取れない感覚だ。
声が漏れた、同時に漏れた白い息も凍るほどの寒さだったがその瞬間寒さを忘れた。
ちょっと真面目に書き過ぎて気持ち悪いけどもうすげーとしか言えなかったから今必死に表現力を取り返そうとしています。
そしてバスに乗る手前でまた緑色のカーテンが動いているのを確認。実際見てみると写真のようなシロモノではない。よっぽどの爆発でもない限り。プロが丁寧に撮った写真は人間の目には見えにくい赤や青も拾うので、理想と現実のギャップはある。
でも肉眼だと揺れ動いているカーテンを見ることができる。素晴らしい。静止画とも動画とも違う衝撃。とにかく信じられない。なんでゆらゆらしてんのか。少なくとも部屋で使っていたニトリのカーテンはあんな儚げにゆらゆらしない。当たり前か。
前置きが長くなりすぎた。
なんと今日もオーロラを見ることができた。
昨日の気温をさらに下回るマイナス40度。せっかく晴れているが期待しているようなオーロラは出現しない。
長時間白い雲のようなもやがじっとたたずんでいたものの、緑色にはほとんどならず。
うーん今日はダメだ誰も彼もダレノガレも諦め、バスへと向かっていく最中にヤツは現れた。
超長距離の緑色。視界から溢れる緑の直線はやがてカーテンになってはためき始めた。
頭上の直線は弧を描いてC字に変化した。
その様子をカメラに収めたかったと先程の若夫婦の旦那さんも悔しそうだった。
ドラマチックな展開に息を呑むがその息すら冷たい。
なんであんな風にふわふわ動くのだろうか。
凍てつく寒さのことは既に忘れていた。