『風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記』 小川一水 読んだ
図書館を積極的に利用するようになったのがここ1ヶ月くらいの話。
都内の図書館は最高。
読みたい本がいっぱいある。
『風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記』
小川一水 著
こちらの方のブログで知った。
(日本語URLなので上手くリンクが生成されない・・・
『はじめての小川一水「想像力をくすぐる六冊の小説」』 景虎日記 です。)
岐阜県出身のSF作家で、SFのほかライトノベルも執筆しているそうだ。
他の作品は読んだことがないのでわからない。
結論から、とても面白かったし読み応えがあった。
割と最近書かれた本だったのを読み始めてから知ったのだけど、実に読みやすい文体。なるほど、ライトノベルを書いているというのも頷ける。読み手の読みやすさを意識しているので400ページ弱くらいだっただろうか、あっという間に読んでしまった。
読みどころとしては
読み始めると「ん?これはファンタジーだ」と思うのだが
これがSF作家によって書かれた作品だというところ。
ただし、上記の小川一水6選の記事に
>これはファンタジーの皮を被ったSF小説であり、SF小説の皮を被った立派なファンタジー小説である。
とあるが、これはファンタジーではないだろうか?良質のファンタジー。
SFと言えばサイエンスフィクション。
うーん。
サイエンスの要素をどこに感じるか。
確かにチラッとそれっぽい概念は出てくるが、自分の持っているSF小説のイメージではなかった。
そもそも『海底2万海里』や『タイムマシン』で止まってしまっている私のSF小説観。
映画なら『back to the future』『バタフライエフェクト』などのタイムリープもの。
アニメならやはりタイムリープもので『時をかける少女』や『シュタインズゲート』。
絶対にSFはもっと幅の広いジャンルのはずなので、きっと『風の邦〜』もSF小説なのだろう。
と思ってウィキペディアでSFについて調べたら確かにこの本はSFだ。
ロバート・A・ハインラインは、「読むことのできる大半のサイエンス・フィクションの手軽で簡潔な定義は、過去や現在の現実社会や、科学的手法の性質と重要性の十分な知識に基づいた、可能な未来の出来事に関する現実的な推測」と述べた[10]。ロッド・サーリングは「ファンタジーは不可能な事を起こりそうに描いたもの、サイエンス・フィクションは起こりそうも無い事を起こりそうに描いたもの」と述べた[11]。アイザック・アシモフは著作で、単に宇宙船や宇宙人が登場するのがサイエンス・フィクションではなく、価値観の転倒による驚き、すなわちセンス・オブ・ワンダーが必要と述べた。
あまり具体的に書くとネタバレになるしそういうのが書きたい訳でもないので差し控えるが、「不可能なことを起こりそうに描い」ているし「起こりそうもないことを起こりそうに描いて」いる。
センスオブワンダーもある。
学びがあったので調べてよかった。
この手の小説には感情移入しやすいヒロインがいなそうなものだが、この作品にはいた。「レーズ」だ。
「レーズスフェント」とは彼女の村だ。それが「興亡」していくと話。
ヒロインがいてヒーローがいる。騎士がいて姫がいる。城があり、城が壊される。
誰も実際には見たことのないめくるめく世界が目の前で、脳内で繰り広げられる。
実用書もいいけど小説もたまに読むと刺激的で感動がある。
こんなに面白いものが借りられるから図書館はすごい。
図書館を見直した。
そういう本。
それからスマホやパソコンの画面ではこの量の文章は一生読めないなと思った。Kindleは書籍専用端末なのでなんとかいけるだろうか。
つまるところ液晶で文章を読むのは
・読んでいるときの姿勢、体制という肉体的問題
・読んでいる画面に世界に没入するのを阻害する要素が多すぎるという問題
がある。
集中力を欠いた読書は辛い。
ただの小説の感想がなんだかおかしな方向にいってしまったのでここらへんで。